テーマは、『日本における政権交代と外交転換』。
先生は、博士論文を書かれていた頃から一貫して「合理的な対外政策を生み出すための国内基盤とはどういったものか」(つまりは、内政と外交の結びつき)ということに関心を持たれながら、幅広く研究活動を展開されてきました。
何十年にも渡る研究活動のエッセンスを盛り込んだ100分の授業。
10年前に初めてお会いしたときと変わらず、スパイスとユーモアを忘れない語り口。
200人ほどの聴衆はみなさん先生の講義に魅了されっぱなしだったことでしょう。
10年ぐらい前に、国際学生シンポジウムで先生と初めて対面しました。
「日本の外交政策のあるべき姿」について熱く議論する我々学生に対して、先生は、右でも左でもなく、ファクトに基づいて現在の日本を取り巻く環境について持論を展開されました。
そのとき、自分の勉強不足を痛感し、「あるべき姿」ではなく、まずは我々のたどってきた道を学ばなければその先を語ることはできないと思い知らされました。
その後、先生を突撃訪問し、先生のゼミに入れてほしいと頼んだところ、あっさりOKしていただき、その後半年の間、毎週先生のゼミを楽しみにしながら参考文献を読みふける日々でした。
先生のもとでもっと勉強したいと考え、先生の所属される大学院に進学しましたが、残念ながらちょうどそのタイミングで先生は国連大使として米国に行かれてしまい、直接の指導は受けられませんでした…それでも、大学院を卒業してから幸運にも定期的にお会いする機会があり、今日に至っています。
私のように半年しかゼミを受講していなかった生徒のことも先生は気にかけてくださり、南スーダンにいる間も何度かエールをいただきました。
先生にお会いしなければ、日本と世界を繋ぐ仕事に就きたいと真剣に考えることもなかったと思いますので、今ここにいられるのは先生のおかげです。
こうやって先生に影響を受けた生徒が日本中に何百人単位でいるというのは本当にすごいことだなぁと思います。
今後先生は他の大学院に移られ、研究活動に主な軸足を置いて活動される予定のようです。
先生の恩師の方が、「『日本陸軍と大陸政策――1906-1918年』を超える著書をもう一冊書かれることを期待しております。」と本日のレセプションで先生におっしゃっていました。
恩師の方にそう言われたら先生もきっとだまっていらっしゃらないと思いますので、今から今後のご活躍が楽しみです。
先生、本当にお疲れ様でした。
◎3日前の東京の写真