2010年10月30日土曜日

女性 x 教育

今週月曜日はプロペラ機での日帰り出張。


プロペラ機でジュバの近郊を飛ぶと、小さいけれど山がたくさんあることに気づきます。

内戦中はその山を拠点にジュバを攻撃していたSPLA(スーダン人民解放軍。元反政府勢力)。

訪問したトリットも内戦を支える重要な軍事拠点だったようで、そのことを州知事代理や州大臣も誇りにしていました。

空から見ると雨期のおかげで緑がまぶしく、そんな過去があったとはなかなか想像しにくいのですが…


トリットで、ある小学校を訪問し、南部スーダン政府教育大臣がスピーチしたときに印象的だった言葉。

「この学校には女子生徒が多いですね!女子生徒はぜひよい母親になってほしい。教育を受けた母親の下に子供が生まれるということはとても大切なことなのです。」


女子教育は、教育を直接受ける女子だけでなく、その子供や家庭も教育の恩恵を授かることになるので、23倍の効果がある…という話を聞いたことがありますが、大臣もまさに同じことを言いたかったのでしょう。

10歳から14歳で結婚してしまう女性も少なくない南部スーダンで、女子教育の大切さを理解してもらうには時間がかかりそうですが、大臣のこのような発言が多くの女性をエンパワーメントすることに繋がるといいなと思います。


◎学校の生徒たち(女子生徒もたくさん)

◎トリットの風景(上空より)

2010年10月23日土曜日

週末の息抜き

先週末と今週末に映画を1本ずつ見ました。


それぞれから心に残った言葉を一つずつ。


私にとって映画は心のビタミン。

駐在を終えて日本に戻ったら、また映画館の大きなスクリーンでドキュメンタリーからラブコメまで楽しみたいな~


◎『ニュー・シネマ・パラダイス』

「自分のすることを愛せ」


映画と初恋の人を愛し続けたトト。トトを理解し、信じ、愛したアルフレード。夫を待ち、トトを待った母親。そして、それぞれが過去を抱えながら生きるということ人生のエッセンスが詰まった宝箱のような映画。



◎『最高の人生の見つけ方』

「あなたはあなたの人生において喜びを見つけることができたか」

「あなたの人生は他の人たちに喜びをもたらすことができたか」


それぞれの人生は神様から与えられたギフトでありかけがえのないもの。その中身や長さを他の人と比べても意味がない…そういったことを感じさせてくれる映画。

2010年10月16日土曜日

東アフリカの優等生

ケニアの首都ナイロビと港町のモンバサに23日で出張してきました。


今回の出張の目的は、日本-ケニア-スーダンの三角協力の可能性を追求すること。


ケニアの歳入庁との連携を目指し、モンバサの歳入庁のブランチと研修施設を訪問。

モンバサでの関税収入はケニア全体の関税収入の80-90%を占めるということで、ケニア政府がモンバサでのオペレーションに力を入れているということが面談からも現場からも伝わってきました。


港の施設とオペレーションが立派で驚きました。

ここから南部スーダンまで様々なものが運ばれているため、(海に面していない)南部スーダンにとってもモンバサ港は生命線だと言えます。


今回の訪問で一番印象的だったのは、「東アフリカの優等生」としてのケニア政府高官の発言。

スーダンの安定は東アフリカの安定にとって不可欠であり、そのためにケニアとしてできることは貢献したい、とのこと。


具体的にどのような形での連携ができるかについての詳細は未定ですが、来年には形になるように今のうちから仕込みは続きます。



◎モンバサ港

2010年10月9日土曜日

秋の収穫祭

私の働いている組織が支援している孤児院の収穫祭に参加しました。


孤児院は通常であれば「子供」を対象とする施設。

しかし内戦中政府は特に孤児院の方針に肩入れしなかったため、孤児院で育った子供たちはそのまま孤児院に留まることに…

その結果、今、孤児院にはたくさんの子供たちだけでなくたくさんの大人たちも(所狭しと)暮らしています。


政府は今後はできるだけ孤児院の子供たちに教育や職業訓練の機会を提供し、早く子供たちが孤児院をあとにすることができる体制づくりを行っていく予定です。


孤児院の子供たちの前で話をする機会をいただいたので、「今回みんなで家庭菜園をつくってその収穫を祝うことができたように、自分たちの力で(食べ物がないというような)現状を変えることが可能なのです」ということと、「日本人は毎回食事の前に『いただきます』と言いますが、それは食事にありつけることを神様に感謝する言葉。このように、日本にはスーダンと同じように日々の食事を神様に感謝するという習慣があります」という話をさせてもらいました。


「孤児院はこんなに大変・悲惨な状況なのだ」ということに言及するスピーカーが多い中で、できるだけ子供たちの興味をひくような、そして、子供たちをエンパワーするようなことが言えれば…と一晩考えて話したこと。


少しでも子供たちに何かが伝わっていればいいな。



◎収穫された野菜(左上:ピーナッツ、右上:トマト、左下:なす、右下:乾燥オクラ)

◎収穫祭に参加する子供たち

2010年10月2日土曜日

オシャレなエンパワーメント

スーダンの女性をエンパワーメントするために昨年設立されたスーダンのNGO ’Roots’のワークショップ(販売店と女性が手工芸品を作る場所が一緒になったところ)がジュバに開かれたと聞いて、そこを訪問してみました。


すると、オレンジ色のとっても素敵な藁ぶき屋根のワークショップが完成しているのを発見してびっくりするとともに、着実に’Roots’の活動が進展していることに勇気づけられました。


建物の建設にはフランス大使館が資金を提供してくれたとのこと。

走りだしのスーダンのNGOに資金提供をできる仕組みを持つフランス大使館はさすがです。未だ日本の公的機関にはそのような仕組みはないなぁ…


手工芸品(ピアスやネックレス、キーホルダー、壁掛け等)をつくる女性たちには元兵士や様々な部族の出身者を選び、彼女たちをトレーニングして、彼女たちが質の高い手工芸品をつくることを通じて女性の自立を目指す仕組みづくりを行っているようです。


手工芸品の値段設定は高めですが、これはジュバの生活費が高いことに起因しているということ。

ここの手工芸品は本当にデザインも質もいいので、私は少々値段が高くても買ってしまいます。

今回も約4,000円の買い物♪


今後’Roots’の活動がどのように発展していくか、楽しみです。

そして、日本とどうにかして繋ぐことができないかな…と頭の中でぐるぐる考え中。



◎ワークショップ


◎販売店の中の様子

◎女性が手工芸品をつくる場所

2010年10月1日金曜日

住民投票まであと100日

ハルツームからジュバに飛行機で戻ってきたら、滑走路の端っこで降ろされた。

その後誘導されて、なんと裏口のようなところから空港の外にでるように指示される…

意味が分からず乗客全員呆然…

その後1時間近く真夏の太陽の下、荷物を待ちながら立ち尽くす…


その後分かったことは、どうやら南部スーダン大統領がアメリカへの外遊から戻ってくる日と重なっていたらしいということ。

空港は大統領専用と化していたようで…


まぁ私たちの乗った飛行機が欠航にならなかっただけよしとするかぁ…


大統領はアメリカから帰ってきたこの日、メモリアル・パークで南部スーダンの人たちに向けた演説を行った。

内容はかなり過激なもの

米国のサポートが今後期待できると見越しての発言か。


住民投票まであと100日。

南北の応酬は日増しに激しくなっていく…



【南部スーダン大統領の発言の要旨】

・米国など包括的和平合意(CPA)を実現させるために協力してくれた国々に感謝

CPAはスーダンに平和をもたらした

・戦争には戻らないし、戻ってはいけない

・過去5年間、北部スーダン政府の行ってきたことを見れば、「一つのスーダン」という選択肢が南部スーダンの人々にはないということが明らか。南部スーダンの人々の大多数が「独立」に投票するだろう。

・独立後の1956年から2度の長い内戦の間に400万人の命が失われたことを考えれば、住民投票を1/9に実施するのは絶対であり、我々の権利である。住民投票は遅らせられない。

・住民投票後は別のチャレンジが待っている。

・独立しても北部スーダンとは隣り合わせなので良好な関係を築く必要がある(独立したからといってインド洋や大西洋岸に移動するわけではない)

・石油、市民権、アビエイ等、北部スーダンとの間で決めなければならないことはたくさんあるが、「平和な離婚」を目指したい。

・国家の経済の多様化、特に農業の発展が必要。

・南部スーダンは破綻国家になるのではないかというプロパガンダあるが、CPA後の5年間で南部スーダン政府が南部スーダンのために達成したことは、50年かけて北部スーダン政府が(南部スーダンのために)達成したことの何千倍と言える。