2009年11月22日日曜日

平和構築とは?!

 職場の同僚が『平和構築-アフガン、東ティモールの現場から』(東大作著)という本をジュバまで送ってくれたので、一気に読みました。

 大学院の頃から将来は紛争後の国家の国づくり、つまり、平和構築に携わりたいと思い、大学院では、カンボジアのクメールルージュ後の正義と和解の問題についてペーパーを書きました。

 その後、日本が平和構築で大きな役割を果たせるのは、軍事面でもなければ、政治面でもなく、開発面だろうと考え、日本の開発援助機関に就職し、今スーダンにいるわけですが、その中で「平和構築」という言葉を定義するのはなかなか難しいと感じていました。なぜなら、平和構築とは多くのこと(例えば、法整備、インフラ整備、武装解除、和解の促進、選挙支援、警察や軍の整備、社会資本の整備等々)を同時並行的に進める作業であることから、一言では説明しにくいのです。

 しかし、この本は、国連の「平和構築(Peacebuilding)」の定義を引用し、平和構築とは「紛争後の地域において、国家の再建を通じ、紛争の再発を防ぎ、平和を定着化させる活動」と明確に定義し、この活動が日本においてはまだ広く認識されていないと考える著者は、アフガニスタンと東ティモールの事例を紹介しながら、これまで平和構築という名の下で行われてきたこと、そして、これから平和構築において日本の果たすべき役割を記しています。

 冷戦後、日本は、カンボジア、コソボ、東ティモール、パレスチナ、スーダン、アフガニスタン、イラク等において、平和構築に関わってきました。また、世界中(スーダンも含む)に展開している国連PKOの予算の15-20%を日本が財政負担してきました。このような中で、今後日本がどのような形で平和構築に携わればいいかということを、著者はアフガニスタンや東ティモールでの聞き取り調査に基づき、次のように結論づけています。

「基本的には、次のような二段構えの方法を取ることが効果的ではないだろうか。

(一) 平和構築の初期の段階では、外部アクターが中心になってでも人道支援など緊急援助に加え、①水道、②電気、③医療、④道路、といった比較的短期間で改善可能で、住民のニーズが高いものについて大規模な援助を実施し、「平和の配当」を人々が直接感じることができるようにする。

(二) それと平行して、なるべく早く現地政府や現地住民の主体的な参加や決定によって実施できるプログラムを立ち上げ、より長期的な開発に向けた事業ができるよう、移行していく。」

「しかし、考慮しなければいけないのは、紛争地域においては、現地政府の機能が崩壊していることが多く、ある程度、外部アクター(国連や支援国など)が主導的な役割を果たさなければ、援助の実施が難しい場合が多いことである。」


 まさに、南部スーダンで(我々を含む)様々な援助機関が実施しようと試みてはいるものの、苦戦していることそのものだなぁ…と感じました。

 できるだけ多くの方がこの本を手にとることで、平和構築への理解が進むといいなと思っています。

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