2011年2月6日日曜日

岐路に立つふたつのスーダン

南部スーダンのジュバで見ているBBCやアルジャジーラの番組ではエジプトのデモの話ばかり。


そんな中で「南部スーダンの独立」という''決まり切った''住民投票の結果をメディアはあまり取り上げないかもしれないが、住民投票の暫定結果に対する異議申し立てがなかったようなので、明日27日に南部スーダンの独立が正式に決まる予定。南部スーダンでは明日午後が祝日になり、ハルツームで発表される住民投票の結果を、ジュバの人たちはTVやラジオを通して聞くらしい。


住民投票では、投票した人のうち、98.83%の南部スーダン人が独立に票を入れた。これは南部スーダン全10州、北部スーダン、そして海外での投票を全て合わせた結果だ。南部スーダン全10州だけを見ると、99.57%の南部スーダン人が独立に票を入れたというのだから圧倒的である。


あとは、79日の独立の日を待つのみといったところか。もちろん、北部スーダンと南部スーダンとの間で政治家・官僚レベルで解決しなければならない問題(国境線の画定、債務分割、北部スーダンに住む南部スーダン人の市民権、アビエイの帰属等)は山積みだが、一般市民レベルでは明日の結果発表をもって「ほぼ終わった!」と晴れ晴れした気持ちになるに違いない。


今月から南部スーダン政府は、2011年から2013年までを対象としたSouthern Sudan Development Planの作成を開始し、これまで打ち出してきた短期的な計画を補完するような長期的な展望を持つ計画をつくる予定。この中長期的な計画づくりがうまくいけば、南部スーダンが北部スーダンから承継するであろう債務の免除への道が開けるため、南部スーダン政府も気合いが入っている。

債務免除は、文字通り債務が免除されるだけでなく、その後に優遇金利のローンを借りるための道が開けるというところがポイント。ジュバ意外にほぼ舗装道路がない南部スーダンでは、今後地方も含めたインフラづくりをするためには大量の資金が必要で、そのためには優遇金利のローンが欠かせない。ジュバを灯す電気だって今は大きな発電機。将来的に発電所をつくるためにはやっぱりローンが必要になるだろう。

だから、今からそのための準備をしているのだ。


今回、個人的に一番驚いたのは、1月の住民投票、そして、その結果集計というプロセスに北部スーダンが全く介入しなかった点。ただえさえ最近北部スーダンでは物価が上昇し、人々の不満がたまっているとのことだが、住民投票の結果油田が多く存在する南部スーダンが独立してしまえば北部スーダンの歳入は激減するため、北部スーダン政府はますます窮地に立つことになる。そうなったとしても、包括的和平合意(CPA)に従った方がいいと北部スーダン政府が考えた理由は何か…?そこにどんなメリットを見出し、そして、どのように北部スーダン政府内の強硬派を説得したのか…?それとも選択肢がないぐらい国際社会に追い詰められているのか…?

悪名高い北部スーダンのバシール大統領。もちろんダルフールでの非人道的な行為は断罪されるべきものではあるものの、南部スーダンについてはこのまま平和裏に独立すれば、これはバシール大統領の「功績」として、国際社会はより北部スーダンを評価し、それを契機に、国際社会は北部スーダン政府が国際社会に歩み寄れるようなオプションを提示する必要があるのではないか…このタイミングだからこそ、非関与政策ではなく、関与政策が求められているのではないか…


そんなことを考える日曜の夜。明日の結果発表を現地で見守りたいと思う。


◎空港からジュバ市内に向かう道路にある看板「アフリカで最も新しい国へようこそ」気が早い?!

◎住民投票のための啓発ポスター

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