◎農作業を終えて帰路につく女性
以前「お金がすべてを解決するか?!」というブログを書きましたが、それから数カ月がたち、その間にも南スーダンではCash Transfer(現金給付)の議論は進み、南スーダン開発計画(2011-2013)のソーシャルセクターの優先課題にもCash Transferが挙げられ、今後南スーダン全土で壮大な実験が開始される予定です。
この試みの前提となる問題意識としては(以前も少し書きましたが)以下のようなものが挙げられます。
①政府による統治が地方部には行き渡っていないため、政府がCash Transferを行うことを通じて、政府による統治・サービスが末端まで機能するということを示し、政府に対する信頼を構築する。=政府への信頼醸成/紛争の再発予防の必要性
②Cash Transferによって人々の購買力をあげ、選択の自由を増やし、地方経済の活性化を目指す。=経済の活性化の必要性
一方で、基本的な社会サービスを提供するシステムが整っていない南スーダンでは、現金を受け取ってもその現金で買えるものが限られている…
ただ、誤解を恐れずに極端なことを言ってしまえば、多くの石油収入が汚職で消えていくとすれば、その分をCash Transferで現地の人々に分配するのは、ベストではないかもしれませんが、ベターな選択肢の一つではあるのかもしれません。(もちろん、Cash Transfer自体が汚職を生む可能性も十分にありますので、そのシステムづくりには細心の注意が必要なことは言うまでもないですが…)
ある西洋のドナーは、もう少し複合的なアプローチをとって、食糧の安全保障と女子教育とCash Transferを組み合わせてモデルプロジェクトをつくり、南スーダンの東エクアトリアで試してみるそうです。(農業訓練を人々に提供し、彼らが現金収入を得られるようになるような仕組み作りをしながら、女子教育を奨励する。そして、女子が学校の授業に出席していることが確認できた場合には、その家族にCash Transferを定期的に行う…といったイメージ。)
南スーダンと似たような事例(政府の土台がないところに一から国をつくるという事例)がほとんどない中で、「仮説」をたてることは本当に困難です。国土も広いため、「効果」を生むようなことを始めようとすると大規模な投入が必要。ただし失敗した場合は、そのコストも膨大・・・
でもやはり、後からは何とでも言えるもの。未だ未だ先が見えない中で、どう先を見据えてどのような一手を打つか・・・このプロセスの真っ只中に南スーダン政府の人達も開発パートナー達もいます。
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