2009年11月7日土曜日

南部スーダン人の結婚観

ジュバ大学の教官(男性)と南部スーダン政府の教育省の役人(男性)と3人で食事をしていたときのこと。

以前から疑問に思っていたことを聞いてみました。

私:「南部スーダンでは男性は何人でも奥さんを持ってもいいと聞いたのだけれど今でもそうなの?」

相手1:「もちろん。」

私:「じゃあ将来は次の奥さんをもらうの?」

相手1:「今すぐのではないけれど、将来的にはもらいたいと思っている。」

相手2:「二番目の奥さんをもらうなんて考えるべきではないよ。まずは、今の奥さんとの間に男の子をもうけることを一番優先的に考えるべきだ。女の子の子供だけでは将来家族の面倒をみる人がいないだろう。」

私:「男性がたくさんの奥さんをもらえるのであれば、女性もたくさんの旦那さんをもらってもいいのかな?」

相手1:「なんてことを言うんだ。そんなことは口にしない方がいい。」

相手2:「日本では一人の女性がたくさんの旦那さんを持つことがあるのか。」

私:「ないけれど…でも、男性がたくさんの奥さんを持てるのであれば、女性もたくさんの旦那さんを持ってもいいんじゃないかな。それが平等ってことじゃない?」

相手1:「でも、男性の場合はたくさんの奥さんを持っても自分の子供を判別することができるけれど、女性の場合はたくさんの旦那さんを持ったらどれがどの男性の子供かわからなくなるだろう。だから女性の場合は許されない。」

私:「そっか…あと、旦那さんが亡くなった女性は、その旦那さんの兄弟と一緒にならなければならいのはなぜ?」

相手1:「だって、旦那さんが亡くなったからもう家族ではありませんということはできないだろう…一度結婚したらその女性は男性の家族の一員になるのだから、旦那さんが亡くなったからって家族の縁が切れるわけではない。旦那さんが亡くなったとしても旦那の兄弟と一緒になる(兄弟の奥さんになる)ことで家族の一員であり続けることができるんだよ。」

相手2:「もちろん、たくさんの兄弟がいたら、その中から好きな男性を選ぶことができるし、奥さんになる前にHIV検査を男性の側に受けてもらうこともできるんだよ。」

私:「へぇ…プラクティカルだね…」

日本と南部スーダンの結婚観がかなり異なるため、なんだか面喰ってしまった私がいました。ちなみに、割り勘という考え方も理解できないとのこと。「なんで女性にお金を払ってもらわなければならないんだ?!」と考えるようです。私が、「Financially independentな女性だとしても?」と聞いたところ、「そんなことは問題ではない。お金を持っている女性はそれは自分の家族のために使えばいい」と言われました。

でもきっと、私と同じぐらい相手も私の考え方に驚いたんだろうな…

◎南部スーダンの女性たち

4 件のコメント:

yoko さんのコメント...

それは、女性が男性と同じように稼げるようになれば、変わってくるのでしょうか?

Eri さんのコメント...

yokoさん。
女性が教育を受けて、お金を稼ぐことができるようになれば、女性の選択肢が増えることにつながり、それによって社会的な慣習が少しずつ変わることになるとは思います。一方で、このような社会的慣習を変えるべきかどうかについては、最終的には(外部の人間ではなく)南部スーダン人が決めることなのだとも思います。
ただし、女性の選択肢が増えること自体は大事なことだと私は考えます。
yokoさんはどうお考えですか?

yoko さんのコメント...

昔、「王様と私」という映画を見ました。アジアの小さな国に、英国の聡明な未亡人が、王様の依頼で子供たちに教養を教えるためにやってくるお話です。まだ、当時若かった私ですが、アジアの文化を否定されて、西洋文化だけがすばらしいという考えはちょっと納得がいかなかったと、今も心にひっかかっています。映画としてはすばらしかったのですが、最後のシーンが未だに腑に落ちません。アフリカにおいても、その国にはその国の文化があり、それはとてもすばらしいもので、それを尊重しなければいけないと思っています。
しかし、やはり他の文化があることも知っていることは必要だと思います。知っていて、なおかつそれを選んだということが重要だと思います。それにはやはり判断力が必要になってくるのではないでしょうか?物事を自分で判断するにはやはり考える力が必要だと思います。そのためにはやはり教養を身につけることが重要ですよね。
しかし、今更そんなこと、私が言わなくても、Eriさんはご存知ですよね。だから、今スーダンにおられるのですから。

Eri さんのコメント...

yokoさん。今年もよろしくお願いします!メッセージ、ありがとうございます。いろいろ考えるいいきっかけになっています。
私もyokoさんと同じ考えです。
判断力・考える力を養うためには、基本的な教育が欠かせないですよね。
石油だけが頼りの南部スーダンで、未来の主役である子どもたちに「生き抜く力」を提供できる教育とはどのようなものなのか…
今年も試行錯誤の一年になりそうです。
また素敵なメッセージをいただけるのを楽しみにしております。