この本の表紙を飾る美しい女性 Waris Dirie。
この本の著者でもあり、また、元スーパーモデルでもあります。
そして今はFGM (Female Genital Mutilation: 女性器切除)の慣習の根絶を目指す活動家でもあります。
スーダンやソマリアなどのサブサハラ・アフリカ地域を中心として、現在でも世界中で毎日約6,000人の女性に対してFGMが行われているとの国連の統計がありますが、女性の性に関するセンシティブな問題であるだけに、実態は明らかになっていません。
自らもFGMの被害者であるWarisは、ソマリアの遊牧民の家族の娘として生まれます。
13歳のときに祖父と同じぐらいの男性と強制的に結婚させられそうになった彼女は、自分の故郷を離れて首都に逃げ、その後、親戚を頼りにロンドンに渡ります。
ロンドンでマクドナルドの店員をしていたときに、彼女の美しさが写真家の目にとまり、スーパーモデルとしての道を駆けのぼったWarris。
その後、彼女は幼少期のFGMの経験を雑誌のインタビューで語り、また、『Desert Flower (砂漠の花)』という彼女の自伝が世界中でベストセラーになることで、FGMの身体的・精神的負の影響が明らかにされ、世間でこの問題への関心が高まることになります。
FGM根絶のための国連親善大使も務めたWarris。
時にはジャーナリスト等の心ない言葉に深く傷つきながらも、時には幼少期のFGMの経験がフラッシュバックする悪夢に苦しめられながらも、FGMという慣習が「過去のもの」になることを夢見て、彼女の闘いは今も続いています。
『Desert Flower』『Desert Dawn』『Desert Children』と3部作の1部である、この『Desert Children』は、「先進国」と言われるヨーロッパで今でもFGMが行われている実態を明らかにしています。
アフリカから自由を求めてヨーロッパに渡った人々の子孫であり、かつ、ヨーロッパの市民権を持つ女性でも、この慣習から逃れることができないという現実。
Warisは、FGMは「文化」ではなく明らかな「人権侵害」であると言い切り、ヨーロッパの国々でFGMを罰する法律の制定とその適切な執行を求めます。
FGMの対象となった女性は一生その後遺症に身体的にも精神的にも苦しめられますが、なかなかそれを語ることはできず、同じ苦しみを娘や孫娘に与え続けることになります。
この苦しみの連鎖を止めるために立ち上がった勇気ある女性Warris。
世の中には「影」があれば、「光」もあるのだなぁと彼女の姿を見て思います。
彼女の自伝『Desert Flower』は今度映画にもなるようです。
http://www.desertflower-movie.com/
日本でも公開されますように…
‘In history, changes are brought about by the actions of individuals – by individual heroes and heroines’ (「これまでの歴史の中で、変化というものは個々人の行動によってもたらされてきたのよ、個別のヒーローやヒロインによってね。」)
‘My journey is over but my mission is only just beginning. I pledge my strength and energy to the cause of eradicating genital mutilation throughout the world and particularly in Europe.’ (「(ヨーロッパでのFGMの実態調査を終えて)私の旅はここで終わりだけれど、私のミッションははじまったばかりよ。私は世界中で、特にヨーロッパでFGMを根絶するために闘うことを誓うわ。」)
0 件のコメント:
コメントを投稿