2013年2月6日水曜日

リーダーシップが人生と世界を変える?!

仕事中に上司に呼ばれて、「はい。仕事の仕方で参考になることが書いてあったから」と渡されたのがこの本。

私は全然知らなかったのですが、渡された後によくよく周りを見渡してみると、ランチの場所でも電車の中でも読んでいる人を発見。今話題の本なのですね。

私は、周りに何人かマッキンゼーで働いている人または働いていた人がいるので、「あーこの著者の方にみんな採用されたのだなぁ」と思いながら、なんとなくこの本を読んでいたのですが、読み進めるにつれて、

-なぜ欧米の大学院の試験ではリーダーシップの経験について聞かれるのか
-なぜリーダーシップを発揮できるメンバーが多数集まったNGOが魅力的なのか
-なぜうちの会社の採用面接でリーダーシップの経験について聞かれたのか
-なぜ「20代のうちにリーダーを経験したことない人は真のリーダーにはなれない」とゼミの先生が話していたのか

という問いに対する答えがわかった気がしました。

また、社会問題を自らの問題として捉え、意見を持ち、行動に移していくアメリカの一般市民をとても魅力的だと高校生の頃の私は思ったのですが、その魅力がアメリカ市民の「リーダーシップ」にあったのだということにこの本は気づかせてくれました。


マッキンゼーで12年間採用を担った著者がマッキンゼーの採用基準として掲げているのは、

①リーダーシップがあること
②地頭がいいこと
③英語ができること
④日本がができること

の4つ。日本では、そもそも教育においてリーダーシップを身につけることが重視されていないため、リーダーシップのある学生を探すのが大変なのだそうです。


また、リーダーシップに求められている4つのタスクは、

①目標を掲げる
②先頭を走る
③決める
④伝える(コミュニケーション)

の4つ。どれがかけてもリーダーとしての役割を果たしていないことに…

確かに、私の敬愛する上司/元上司は、①~④の全てを備えつつ、特に④コミュニケーションの能力に秀でている気がします。


強い組織は、数の限られたリーダーによって率いられる組織ではなく、多くのリーダーが自発的に行動する組織なのだという著者の指摘は、ごもっともだと感じるとともに、私自身の会社での行動を振り返ってみると反省点は多々あるなと感じています。

いわゆる「人事」本かと思いましたが、どちらかというと自分の行動を振り返るきっかけを与えてくれる「啓発」本でした。

著者は、リーダーシップは訓練を積めば誰でも学べるスキルであり、また、すべての人が日常的に使えるスキルであると言っています。

まずは、日々の業務から・・・きっと本を貸してくださった上司のメッセージもそこにあったのかな。





「『問題の解が見つけられること』と、『問題が解決できること』はまったく次元が異なります。『こうやれば問題を解決できる』とわかっていても、その実施のためには、組織の仲間に痛みを強いたり、外部企業との微妙な提携交渉をうまく乗り切ったり、経営者自身も、今までに経験したことのない領域に足を踏み出してもらうなど、さまざまな支援が必要です。(中略)困難にぶつかりつつも着実に前進するために必要な力も、地頭のよさとは無関係です。人や組織に関する深い洞察や感受性、強靭な精神力や未知のものに対する楽観的な姿勢(ポジティブシンキング)、粘り強さ、リーダーシップなど、求められる資質は多岐にわたるのです。」

「コンサルタントに向いているのは「半端でないレベルまで考え尽くすことができる人」です。純粋に考えることが好きで、考えることが楽しく、ヒマさえあれば何かについて考えている、思考意欲の高い人です。」

「マッキンゼーでも、(中略)最もインテリジェントだと思われているのは、処方箋を書くための、構築型の能力がある人です。(中略)政治や経済の現状について、「ここがよくない、あそこが悪い」と指摘したり、「なぜうまく回らないのか」と分析することは難しくありません。しかし、「ではどうすればよいか」、「全体としてどのような仕組みをつくり上げれば解決できるのか」、包括的に提示することは容易なことではありません。」

「自分の言動を変えるのは自分一人でできるけれど、自分以外の人の言動は、リーダーシップなくしては変えられないのです。」

「(リーダーシップは)プロジェクトマネジメントとも異なります。プロジェクトマネジメントという概念には、プロセス管理、予算や人材のリソース管理、進捗管理など、管理業務が重要な要素として含まれています。しかし、問題解決リーダーシップとは、プロセスをうまく回すためのスキルではなく、答えの質そのものの向上を追求するためのスキルです。」

「私に求められているのは、『自分で決め、その結果に伴うリスクを引き受け、その決断の理由をきちんと説明する』ことであって、上司の指示をすべて聞きいれることではなかったのです。」

「辞令によって配属が決定され、『石の上にも三年』などと言って、実力にかかわらずすべての新人に下積みを求める組織では、成長の可能性とスピードは運と偶然に大きく依存してしまいます。」

「判断力、決断力について信頼でき、言うべきことを言うのに躊躇せず、やるべきことはリスクをとっても実行する」(いざという時に選ばれるリーダーについて)

「どこで働く人も、自分の成長スピードが鈍ってきたと感じたら、できるだけ早く働く環境を変えることです。(中略)『ここ数年、成長が止まってしまっている』と自分自身で感じ始めてから数年もの間、同じ環境に甘んじてしまった後に転職活動をしても、よい結果を得るのは難しいということを、よく理解しておきましょう。」

「『変化に対応する力のある人』を求めるという言い方がありますが、リーダーシップ・ポテンシャルの高い人を求めるという趣旨から言えば、変化への対応力が高い人ではなく、むしろ、『変化を起こす力のある人』が求められています。変わっていく社会に対応する力をもつ人ではなく、社会なり、組織なりを自ら変えられる人という意味です。」

「ホワイトボードの前に立って議論のリーダーシップをとるには、会議の参加者が発する意見を全体像の中で捉え、論点を整理して議論のポイントを明確にしたり、膠着した議論を前に進めるために視点を転換したりと、さまざまなスキルが求められます。この『ホワイトボードの前に立つ』という経験を通して、新人コンサルタントはディスカッション・リーダーとしての訓練を積んでいくのです。」

「現状を変えられるのは、神でもスーパースターでもありません。必要なのは、組織のあらゆる場所で、目の前の変革を地道に主導するリーダーシップの総量が、一定以上まで増えることです。」

「あらゆる人が日常生活の中で自分なりにリーダーシップを発揮する社会となり、『誰かが決めてくれるのを待つ。誰かが決めてくれたらそれに従う』のではなく、『自分たちで話し合って決めていく、そのリードを自分がとろう』という姿勢に変わるだけで、社会のあり方は大きく変わっていくはずなのです。」

「組織とは、所属し、守ってもらうものではなく、率いるもの」

「『社会を変えたいなら、まず自分の生き方を変えないと始まらない』」

『採用基準』 伊賀泰代 より

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