2009年8月9日日曜日

安全確認の方法


先週末に南部スーダンのジョングレイ州で185人の人が殺される(被害者はほとんどが女性と子ども)という事件があり、日本でも新聞に小さな記事が掲載されたようです。BBCでも流れたようで、数名の方が心配してメールを下さいました。ありがとうございます。でも、南部の中心都市(私の所属する組織の事務所があるところ)からは300km以上離れており、また、民族間の闘いなので、基本的に私たちの生活には何も影響はありませんでした。ただ、同じ国で起こっていることとはとても思えない…スーダンでは昔から民族間で牛(スーダンでは牛は大きな財産で男性は牛を何頭持っているかで財力を示します)を奪いあうような闘いを繰り返してきたわけですが、最近は近代的な武器を使って昔からある闘いに挑むため、かなり多くの犠牲者が出てしまうようです。一部の報道では、片方の民族には北部スーダン政府から大量の武器が流れているのではないかと書いてあり、単なる民族同士の闘いでは済まされないところがより状況を複雑化させております。

ある地域では紛争や民族同士の突発的な争いが起こっており、他の地域は極めて安全というような多様性のあるこの国で、国際機関や政府機関、援助関係機関は、国連のSecurity Officerにブリーフィングを受ける形で治安情報を入手しております。私も先週初めてブリーフィングを受けに行ったのですが、国を東西南北に分ける形で、一週間のうちにどのような事件があったかを詳細に報告してもらいました。軽微な交通事故から誘拐まで様々な事件が紹介され、最後には人質になった場合の対処方法まで教えていただきました。人質になった場合は最初の一時間を乗り切れば生存率がぐっとあがるようです…

このようなことを書くと「スーダンはやっぱり恐ろしいところだ」と思われるかもしれませんが、基本的には人は穏やかで、紛争地以外は治安もかなりよく、当然ですが人々は普通の暮らしをしております。夕方になるとアイスクリーム屋さんの周りには人だかりができ、路上のお茶屋さんには朝から晩まで人々が入れ替わり立ち替わり訪れてお茶を飲んでぺちゃくちゃおしゃべりをし、人々は一日に何度もメッカの方を向いてお祈りをする…でも、この「普通のスーダン」は特にニュース性もないのでなかなか世界に伝わらない…残念です。

「どんな町でも人は絶対に生活している。ごはんを食べて、朝と昼と夜を繰り返して、眠って、歳をとっていく。ガイドブックにどんなふうに書いてあっても、人が生活していない国は絶対にない。どんなものすごい暮らしの中でも子供が産まれたり、人が死んだりしている。」

『バナタイム』よしもとばなな より



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