ジュバでは、様々なところでBRACの看板を見かけます。
バングラデシュの独立(1971年)以来、バングラデシュの農村の女性、子ども、そして、貧しい人たちを対象にマイクロファイナンスや教育、保健サービスの提供を行ってきた国際NGOのBRAC。
(BRACとはもともとは、Bangladesh Rural Advancement Committee(バングラデシュ農村開発員会)の略称だったのですが、BRACは2002年からバングラデシュの国外へも活動範囲を広げていったことから、今はBRACとだけ名乗っているようです。)
バングラデシュで貧しい人々や弱い立場の人々にサービスを提供してきた経験がきっと海外でも役に立つのではないか…という思いのもとに、その活動範囲をアフガニスタン、スリランカ、南部スーダンと広げてきたBRAC。
南部スーダンでは、全10州のうち7州でマイクロファイナンスを展開し、また、コミュニティの女性をトレーニングすることによってCommunity Health WorkerやCommunity Teacherを育て、行政サービスの行き届かないコミュニティに保健や教育のサービスを提供しています。
これまで南部スーダンで貸し付けたローンは約5.7億円。
年平均2-3万円を一人の女性に貸し付けているということなので、単純に計算してもどれだけ多くの南部スーダンの女性がBRACを通じて恩恵を受けているかがわかります。
また、BRACは国連機関からファンドを受託し、南部スーダン全土のローカルNGOのトレーニングも実施しています。
途上国発の国際NGOがここまで大規模に、そして、現地に根差した形で活動を実施しているのを目の当たりにすると、日本の支援の強みとは何か…ということを考えさせられます。
そして、このように多くのサービスを提供する総合商社のような国際NGOが日本で誕生しないのはなぜか…という疑問が浮かびます。
現在BRACはアフリカでは5カ国で活動を展開していますが、今後はアフリカ3カ国を新しく活動地域として追加し、また、ハイチでも活動を開始する予定のようです。
以前日本でBRACの創設者であるAbed氏の講演を聞きに行ったときに、「どうして現地にネットワークがないアフリカでこれだけ活動を展開することが可能なのですか」と伺ったところ、Abed氏はPartnershipとCommunicationが一番大切だということを話していましたが、南部スーダンの現地スタッフに同じ質問をしたところ、Abed氏と同じ回答がかえってきました。
BRAC Spiritsがトップから現場まで浸透している…これがBRACの成功の秘訣なのかもしれません。
“If I were thirty-five now instead of sixty-eight, I would do so many other things that I haven’t done...Now at the twilight of my life, I feel that I must complete all the things that I have started.”(訳:もし私が今68歳ではなく35歳だったら、まだ手をつけていない多くのことに手をつけるだろう。しかし、人生には限りがあるため、私は新しいことを始めるよりも、自らはじめたことのすべてを成し遂げなければならないのだ。)
Fazle Hasan Abed(BRAC創設者) より
2 件のコメント:
以前、バングラディッシュの保健対策の仕事で、僕も1か月滞在したことあります。
あそこで見た医療の風景。むしろ、水の管理とかの公共サービスのような部分が多くて、医療自体も、元々は医学だけに閉じてなくて、政治だったり、建築だったり、経済だったり・・・色んなものと分けられなかったものなのだなぁと強く感じました。
そんな体験は、先端医療をやっている今も、記憶の奥底にある一つの風景として、ときどき頭をよぎりますね。
体験って、脳だけじゃなくて、皮膚感覚や匂いとか、音とか、色んな感覚を総動員して感じるものだから、記憶の深い部分に強く明確に刻印されるものな気がします。
今の管理人さんの生活も、きっとそういうものとして、身体全体に深く刻印されていくんでしょうね!
inabaさん。
コメント、ありがとうございます。そして、ご無沙汰しております。
inabaさんがバングラデシュにいらっしゃったことがあるとは知りませんでした。inabaさんがスーダンの医療風景とか見たらどう感じられるのだろうな…と(inabaさんのブログを読みながら)ふと思ったりしています。
そうそう、旅や出張、駐在の記憶って頭の中の記憶としては少しずつ忘れてしまうのですが、においや雰囲気、イメージとかはふとした瞬間に思い出したりして、体に染みついるんだなぁと思います。
4月に長期で帰国できるかもしれないので、タイミングが合えばコリン会、ぜひ参加させてくださいね。
いつもみなさんのメールを読んで、励まされたり考えさせられたりしています。
実はこのご縁でドイツにも遊びに行こうかなと思って相談中だったりします^-^
また決まったらご連絡差し上げますね!
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