2010年8月21日土曜日

水に沈む街

マラカルという南北スーダンの境界線に近い都市に出張してきました。


南部スーダン10州のうち、このアッパー・ナイル州が7つ目の訪問州ですが、今まで訪れたどの州よりも街中の雰囲気は北部スーダンに似ています。そして、どの地方都市(ジュバを除く)よりも発展していました。

2005年の南北和平合意後も2007年ごろまではアッパー・ナイル州は北部スーダンからの財政支援を受けていたとのこと。発展の理由はそこらへんにもあるようです。


ジュバにもない空港のベルトコンベアーや小型タクシーを見ると、北部の支援の影や北部との経済的なつながりを感じます。

きっと、北部スーダンとの境界に位置する州は少なからずそういった側面を持つのでしょう。


白(南)黒(北)はっきりしないグレーゾーンに位置する人々。

彼らは来年1月の南部スーダンの独立を問う住民投票でどのような決断をするのでしょうか。

なかなか南部スーダン政府からの支援がいき届かない境界の地で、南部スーダン政府に対する不満や不安を口にする州政府高官も少なくありませんでした…


USAID(アメリカ政府の援助機関)は北部との境界線に位置する4つの州に対して、集中的に投資・支援を行うプロジェクトを実施中ですが、ここには「平和の配当」をこれらの地域の人々に感じてもらうことによって、南部スーダン政府への支持を確保しようという政治的な意図が見え隠れしています。


さて、夕方になって雨が降りだすと、突然街が水に沈みだしました。

舗装道路がほとんどないマラカルの街で、雨が降るととたんに道路が泥道になる…

靴を履いたまま泥道を歩くと、靴に泥が次から次にくっついていき、最後には靴が持ち上がらなくなるとか。

だから人々はみんな手に靴をもって、裸足で道端を歩いています。


教育を受けた教師や医師の数はごくわずかで、舗装道路もほとんどなく、北部との境界に位置することから政治的にも火種を抱えるこの土地で、知事になったとしたらどこから手をつけていくべきなのでしょうか…


知事との面談の際にそのようなことを考えながらメモをとっていた私でした。



◎水の中に沈むマラカルの街

◎今年から支援を開始するマラカルの職業訓練センター

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