『第三世界の農村開発-貧困の解決-私たちにできること』ロバート・チェンバース著
4年前の初夏に社会人になって初めて出張に行った際に先輩に勧められた、開発援助の教科書的な位置付けの本。
少ないながらも南アジア、サブサハラで目の当たりにしてきたいくつかの事例を踏まえて読むと、頷いてしまうことが多い…
1980年代に書かれたことが今でも妥当性を持つということは驚きです。
我々援助関係者は未だに同じ過ちを繰り返している/ 繰り返していく可能性があるということ。
もちろん、著者自身の考え方もこの本以降変わっている部分もあるでしょうし、この本が書かれたときと現在とではそもそもの前提条件が異なる部分もあるでしょう。
それでも…多くの言葉が胸に刺さるのは、私だけではないと思います。
インドの農村部で大きな藁ぶき屋根の下薄暗い中で勉強をしていた小さな子供たち…
インドの西部で飲料水から高濃度のフッ素を取り除くために様々なしかけを生み出し人々をエンパワーしていたNGO…
インドの南部の低所得者層の多い地域で、参加型開発により村々を蘇らせたソーシャル・ワーカーたち…
ネパールで、農村開発を現地の人々主導で、それぞれの村の長所に注目して行おうとしていた先生たち…
ネパールで何時間もかけて山頂の小学校に通う子供たち…
スーダン南部の都市部で内戦中から一貫して女性をエンパワーメントするための活動を続けてきた女性たち…
これまで現場で見てきたものが本を読み進めるとともに一気に蘇ってきます。
「農村の貧困とその本質について正しく理解すること、学者、実践者、農村の人々の三つの文化をつなげること、農村の実態を知るために費用効果の高い方法を考案して使うこと、農村の人々と共に腰を降ろして、彼らの言うことに耳を傾け、彼らから学ぶこと、農村の貧しい人々が有利な立場に置かれるよう工夫すること、何をなすべきかを良く考えて見極めること、誰が得をし誰が損をするか、そしてどうすれば最後の人々を最初に持ってくることができるのかを問うニュー・プロフェッショナリズムを育成すること」 『第三世界の農村開発-貧困の解決-私たちにできること』ロバート・チェンバースより
常に立ち戻る必要のある、重い重い問いかけです。
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