南部スーダンのジュバにWSHDOという女性と子供の生活環境改善を目指すNGOがあります。
1970年代にGTZ(ドイツ政府の援助機関)の支援によって設立されたこのローカルのNGOは、スーダンの内戦中も、保健・農業・植林・識字教育・小規模ビジネスの分野で南部スーダンの女性支援を行ってきました。
そして、内戦が終結した現在、植林・小規模ビジネスの分野での活動を続けています。
小規模ビジネス支援としては、パンを焼いて販売したり、シアバター石鹸を卸売したり、フルーツの苗木を育てて売ったりという活動を行っているのですが、それに加えて、生理用ナプキンの生産及び販売を行っています。
スーダンでは、小学校高学年になると女子生徒の就学率ががくっと下がります。その理由はいろいろあるのですが、その一つは生理です。
まだまだ多くの小学生が木の下で授業を受けているような南部スーダンでは、女子生徒が安心して使えるようなトイレがほとんど整備されていません。また、使い捨ての生理用ナプキンは南部スーダンでも販売されていますが、貧しい家の女の子たちの手に届くような商品ではなく、そのため、生理になると彼女たちは学校に行くことができなくなってしまいます。
そのような中で、女性の教育に力を入れている国際NGOがWSHDOの女性たちに生理用ナプキン(再利用可能な布製のもの)の生産を委託し、できた製品を買い取って、小学校や中学校の女子学生に配るというようなことを行っています。
WSHDOで実際にナプキンをつくっているところを見せてもらったのですが、布地も肌ざわりがよく、デザインもかわいいもので、女の子の心をつかむことができる商品に仕上がっているなぁと感心しました。
日本では考えられないような理由で、学校に行くことをあきらめてしまう女の子たちがたくさんいる南部スーダン。
WSHDOのナプキンの生産は、生産者である女性の収入向上だけでなく、女の子の就学率向上にもつながり、二重の意味で女性のエンパワメントになっています。
以前、仕事でインドの担当をしていた時に、インド南部のタミルナド州で生理用ナプキンを生産するNGOをUNICEFが支援し、事業として大きな成功をおさめたということで、アフリカからも見学者がくるという話を聞いたことがあります。
そういった意味では、WSHDOの活動は他のアフリカの国のモデルになるかもしれません。
ただし、この活動を「ビジネス」として成り立たせるためには(持続可能な事業モデルにするためには)、女の子の家の両親がこの製品を買える位の値段に製品の価格を下げるか、または、南部スーダン政府教育省が女子教育促進の一環として、この製品を買い取って女子生徒に配るシステムをつくるか…とうようなもうひと工夫が求められます。
このNGOの代表を務めていたママ・ルーシーは、今後はレンガづくりとペットボトルの再利用の活動に取り組みたいといいます。
元兵士だった女性たちが手に職を持てるようにするために、また、ジュバの街がペットボトルのゴミで汚れていくのを防ぐために、(NGOの代表を退いた)ママ・ルーシーの挑戦はこれからも続きます。
◎小規模ビジネスの一例:ベーカリー
0 件のコメント:
コメントを投稿