2010年3月14日日曜日

予算

先日、教育省のカウンターパートナーが疲れた顔をしているのでわけを聞いてみると、議会で2010年の予算が承認されたので、財務省に予算執行依頼のレターを書くことに追われているとのこと。


スーダンの会計年度は1月から12月です。

2010年の予算が3月になってやっと議会で承認されました。


2010年の南部スーダンの予算のテーマは“Utilizing our Resources for Peace and Prosperity of the people of Southern Sudan”(南部スーダン人の平和と繁栄のための財源利用)。

そのために、‘Broad-based economic growth’(広い分野にわたる経済成長)、’Budget Discipline’(規律ある予算編成)、‘Delivery of Basic Services’(基礎的社会サービスの提供)に重点を置きます。


2010年に利用可能な財源は、4,503,000,000スーダン・ポンド(約17USD)。

このうち、98%が石油収入です(その他は、所得税、税関収入など)。

南部スーダンは石油がなかったらどうなるのでしょう?

そもそも、石油がなければ「独立」を考えることさえしなかったかもしれません。

去年は、アフリカ開発銀行によって、石油外歳入を増やすための調査が行われましたが、石油への依存度が高いことについての危機感は南部スーダン政府の中でも共有されています。


2010年の財源の約半分は政府が雇う人々の給与に充てられます。

また、財源の4分の1は軍人の給与を含む軍事費に充てられ、4分の1は州に配分されます。


ちなみに、私の担当する教育省の予算は、324,000,000スーダン・ポンド(国家予算の約7%)。2010年は、教育施設のリハビリと大学教育の強化に重点を置きます。


一方、南部スーダン政府によってサインされた未払いの契約は、9,801,000,000スーダン・ポンドに達し、これは2010年に利用可能な財源の2倍以上の額です…

これらの契約をすべて支払っていたら、南部スーダン政府の財政は破たんしてしまうため、個々の契約を吟味するための委員会が設置されました。


南部スーダンらしい予算配分としては、アビエイ(南北スーダンで支配権を争っている地域。石油の産地でもあります。)に南部スーダン人が帰還するための費用として約10億円が計上されている点、また、兵士の武装解除後の社会復帰のための費用として約4.2億円が計上されている点が挙げられます。


2010年のドナーからの支援予定額は719百万USD2010年の南部スーダン政府予算の4割の額に匹敵します)。

ドナー支援の重点分野は保健とインフラ。

719百万USDの内訳としては、5つのプール・ファンドが180百万USD、アメリカが200百万USDと、アメリカの援助の存在感が数字にも表れています。


2009年は石油価格の下落で、南部スーダン政府の財政はかなり深刻な状況に陥りました。2010年の予算も石油価格が安定推移すること前提に組まれていますので、石油価格の行方に南部スーダンの2010年の財政も大きく左右されることになりますね…

2 件のコメント:

kazu さんのコメント...

石油収入が財源の98%・・・
スーダンは、ナイル川もあり、多くの国とも接しているので、商流の中継地としての役割を果たせるようになれば、財源収入の多様化が図れるかもしれないね。そして、紛争を解決し、国際社会にも認められれば、国債の発行などからも財源の確保が可能になるかも。ポテンシャルの高い国だと思う。JICAの仕事は、その土台作りだね!

Eri さんのコメント...

kazuさん。
コメント、ありがとう!
先日、南部スーダン政府の「成長戦略文書」を読んだのですが、その内容は農業を通じた経済成長が主なものでした。
国民の9割が農村人口なので、農業をどうにかしなければ国民を食べさせられないということなのでしょう。
一方で、kazuさんが言うように、「物流」というのは、治安の問題させ解決できれば、南部スーダンにとってキーになってくると思います。
今は、南部スーダンで消費されるほとんどの物資が隣国から運ばれてきており、それらの物資を南部スーダンに運んでくるトラックは、自国に戻るときにはからっぽのまま帰っていくそうです。
南部スーダンが物流の中継点になれば、からっぽのトラックもなくなりますよね!