2013年12月1日日曜日

I don't know how she does.

出張のときか、休暇のときか、忘れてしまったけれど、飛行機の中で見た映画『I don't know how she does』。直訳すると、『彼女がどうやって(仕事と家庭を両立させて)いるのか分からない』となるかしら。私だったら『スーパーウーマン』とでも意訳したいところ。

日本ではもうすぐ公開されるのかな?!

Sex and the Cityでお馴染みのサラ・ジェシカ・パーカーが主人公で、投資銀行でバリバリ働くキャリアウーマンかつ一男一女の母という役を演じています。

子どもに寂しい思いをさせていることに罪悪感を感じながらも、そして、ここで新しい仕事を受けてしまうとまた家族との時間が減ってしまうので断るべきだと頭では分かりつつも、新規の案件を受けてしまう彼女。

子どもの学校の行事、お誕生日会、家族の行事などなど。

仕事も責任のあるポジションできちんとこなしながら、なんとか、家族との時間や行事もこなしていく姿に、(子どもはまだいないし、管理職でもない私も)「あー、わかるわかる、そうだよね!!!!」と共感しまくりでした。

あまりにもどたばたした毎日で、うまく歯車がまわらなくなってしまったときに、旦那さんが彼女に言った一言。

「常にロジの話ばかりするのは嫌だ…5分でいいから、きみとゆっくり話しをする時間を持ちたい。」

いつか私も旦那さんに言われそう…苦笑。

それでも、なんだかんだ言いながら理解ある旦那さんに助けられながら、仕事も夫婦関係も子育てもオシャレもなんとかこなしていく彼女の姿に、心からエールを送りたいと思った私でした。

おまけ:この映画について書かれた以下のコラムもとっても共感。
http://mamapicks.jp/archives/51818846.html

2013年11月30日土曜日

海賊とよばれた男

旦那さんにつられて読んだ本。

出光の創業者出光佐三をモデルにして書かれた話。

出光佐三さんの目先の利益に捉われない国益を見据えた行動、そして、社員を誰よりも大切にして家族のように扱う姿勢。

ただただ圧倒された。

リスクのない大仕事なんてない。

でも…

一歩間違えれば、国賊扱いをされたり、死が待っていたりする世界…

更には、失敗すれば(自分だけならまだしも)、家族、社員、そして、事業資金を提供してくれた人たちまでも路頭に迷わせることになる。

そんな中でも、自分の信じた道を歩みつづけた出光氏。

「思えば、戦い続けた人生であった」
「苦しみ続けた人生だった」

と出光氏は社長として闘い続けた50年について懐述しているが、本当の英断をし社員と歩み続ける経営者というのは、(華やかに見える裏で)孤独で辛い日々を過ごしているのだろう。

彼の言葉ひとつひとつに凄みがある。

「五十年は長い時間であるが、私自身は自分の五十年を一言で言いあらわせる。すなわち、誘惑に迷わず、妥協を排し、人間尊重の信念を貫きとおした五十年であった」

「たとえ九十九人の馬鹿がいても、正義を貫く男がひとりいれば、けっして間違った世の中にはならない。そういう男がひとりもいなくなったときこそ、日本は終わる」

在るべき社会の姿、国家の姿を思い描き、そこから今の自分の使命を読み取り、それを行動に移していく…その本気につられて多くの社員や関係者が惹きこまれていく…そして、それが最後には国を動かす・国民を勇気づける力になっていく…

こんな人生があったことを知ることができて幸運だった。

彼が社員向けに書いた本『マルクスが日本に生まれていたら』もぜひ読んでみたい。

出光の創業者をモデルに書かれた本

2013年6月29日土曜日

閖上再訪

復興米の袋詰めのお手伝い@名取


(少し前の話しになりますが)今年39,10日にコンパスポイントの仲間8名と一緒に特定非営利法人ロシナンテスの東北事業所を訪問しました。


2011年、2012年、そして今回とこれで3回目になります。閖上(ゆりあげ)朝市で朝ごはんを食べるのは毎回お決まりのお気に入りのコースですが、地元の方々との信頼に根差した本音の会話に参加したり、刻々と変わりゆく現地のニーズをくみ取りながら活動を展開するロシナンテスの活動を垣間見ることには、いつも様々な「気づき」があります。


今回の訪問の主な目的のひとつは、2011年に瓦礫撤去をお手伝いしたお宅の再建のお祝いをすることでした。

そのお宅は、津波による被害があったことはまったくわからない程度に再建されており、仕事の合間を縫って自宅を再建された家主の方の思いが(建物から)よく伝わってきました。瓦礫撤去をお手伝いさせていただいたメンバーでそのお宅を再度訪問し、家主の方の「思い」をひと時でも共有することができたことは本当によかった…

このような「場」を提供してくださった家主の方とロシナンテスに感謝です。



地元の方々とよなよな語っていたとき、ある方が「復興」と言われることが嫌でしょうがないと話されていたのが印象的でした。

外部の人間が(または内部の人間さえも)何気なくつかっている「復興」という言葉。

地元の方からしてみれば、いつまでも「復興」と言ってられない、大震災が起こっても日々は続いていくのだから…という気持ちなのかもしれません。

私自身が仕事で携わっている紛争後の地域に生きる人々からも同じようなことを聞いたことがあります。

「平和構築」や「復興」という言葉は嫌いだ、いつまでそんなこと言っているんだ?!と。

なるほど…


また、「生きているだけでよかったね」と言われることも震災にあった方々からしてみれば複雑なようです。

写真数枚以外は(家も含めて)全部失ったということの重み―想像の範囲を超えた出来事が起こったのだということを(東北の風景が少しずつ元通りになっていっていたとしても)心に留めておく必要があります。


一方で、繰り返し被災地を訪問してもらい、「何かできることがあれば…」と言われることは、やはり嬉しいことだとも地元の方々は話されていました。

外部の人間は、(被災地の方々のために)何かできる、とか、(被災地の方々と)分かりあえる、とか過信することなく、未来に向けた協働の可能性を静かに探りつづけることが求められていることなのかもしれないな、と仙台駅までの帰りの車の中で思いました。



3.11以降、避難所での医療活動から、ラジオ体操、瓦礫撤去、復興新聞、芋煮会、運動会など活動を展開させていったロシナンテス。

現在は仮設住宅に住む高齢者を対象としたコミュニティーファーム「健康農業 亘理いちご畑」の事業を展開しています。

東北事業所の代表のOさんは、現地で活動されることの意義や難しさ、そして、日々感じていることを(地元の美味しいお魚を食べながら)率直に語ってくださいました。


ロシナンテスはスーダンでも東北でも、現地のニーズに柔軟に対応しながら活動を進化させていくユニークなNPO


これからも継続的にコンパスポイントのメンバーと一緒に東北とロシナンテスを応援していきたいです。


◆ロシナンテス東北事業所の活動の様子→ http://tohoku.rocinantes.org/

2013年2月18日月曜日

0.001のプラスにかける思い

私と同じ歳の山口絵理子さん。マザーハウスという会社の社長さんです。

マザーハウスは、バングラデシュとネパールで現地の人たちが現地の素材でつくった鞄などを日本の直営店やデパートで販売しています。


その山口さんが書いたエッセー『自分思考』。


自分の主観を大切にしながら、多くの失敗を重ねつつ、そして、たくさん傷つきながらも、途上国発のブランドをこの世に誕生させて広めるために、一歩ずつ前進してきた山口さんの人生に対するスタンスや判断基準がよくわかる本。


仕事なんて選ばなければいくらでもあり、また、政府が「日本人」というだけで守ってくれるような日本で生まれ育った私たちはそれだけでとてもハッピー。だからこそ、せめてやりたいことをやろう、自分の人生をまっとうしようと思い、それを実行に移している彼女。

途上国は「かわいそう」の対象ではないという徹底した信念があったからこそ、マザーハウスという途上国の人たちを真のパートナーとするような会社をつくることができた彼女。


かっこいいなぁ。


何かをはじめるときに大切なのは、説得力よりも情熱からくる狂気じみた妄想と実現させたいという素直でピュアな気持ち―最前線に立つということは、つねに現場にいて、自分の主観を磨いて、数字にあらわれない世の中の動きを感じ歩くこと―


同じようなことを元世銀副総裁の西水さんも言ってたな(Sensing the futureという言葉で)。


社長とデザイナー。両方やるからこそ見える風景もあるのではないかという山口さんの悟り。


これって、家庭と仕事の両立にも言えることかもしれないな。


信頼のベースを形成するのは自分がまず信頼すること―マザーハウスのスタッフは明日会社がなくなったとしてもまた0を1に自分たちでできる人たちなのだという絶対的信頼―


これだけのチームをつくるのにどれだけの苦労をしてきたのだろう。私自身途上国で労務管理をやっていた経験があるので、その難しさは痛いほどわかる。途上国ではいいスタッフを見つけるのだけでも難しいのに、その上チームビルディングとなると更にハードルはあがる・・・


継続することの尊さについて、山口さんは言及しているけれど、私は同じものをロシナンテスの代表川原さんにも感じる。一生コミットするという覚悟。その覚悟から生まれる現地の人たちとの強いきずな・・・かなわないなぁ。


生みの苦しみ
退路を断つということ
小さな変化を喜ぶということ
責任と自由
犠牲と前進
正しい答えなんてないということ・・・


キーワードをあげればきりがないけれど、私は何より山口さんの泥臭い感じに、またたまらなく魅かれてしまう。


自分の気持ちを+-ゼロに戻してくれるそんな一冊です。

2013年2月11日月曜日

地殻変動にとことん向き合う

司会のしんちゃん。

今日は久々のコンパスポイント( http://compasspoint.asia/ )。

ゲストは、岡本佳美( http://www.rhythmoon.com/interview/067/ )さん。

仕事をしながら家庭も持つということについて、いろんなTipsをちりばめながら、ずばりと語っていただきました。

最近ずーっともやもやと考えていたことが、岡本さんのおかげてぱーっと晴れて行ったというか、前向きなカツを入れていただいたと言うか・・・

今日も20代30代の働く女性が30人ぐらい集まっていましたが、そんな彼女たちの心に響く言葉をストレートに発し続け、かつ、ご自身の経験や失敗を惜しみなく共有してくださった岡本さん。

この一期一会に大感謝。
ここ1年ぐらいの間に会った人の中で一番びびびっときました!!

岡本さんの心に残った11のメッセージは以下のとおり。
私も旦那さんとの向き合い方を変えてみようと思いました。
まずは、Googleでのスケジュールの共有と週2回のスカイプからかな。

素敵な祝日でした~♪




・このまま収入が増え続けるということにどんな意味があるのかと考えた。この先に何があるのだろうと―そして、自分が本当に価値があると思うものについて伝えることを仕事にしていきたいと思った。

・誰から学ぶのかということが大事。だからこそ、人との出会いを大切に。その出会いをちゃんとつかめるようにするためには、直観を磨き続けること。

・社会人になって6-7年目のアラサーのときには、必ず地殻変動のような出来事が起きる。ひずみがあれば自分でとことん向き合うことが大切。それができれば、ハッピーなアラフォーが待っている。(Tips:地殻変動→大地震→行動へ)

・アラサーのときに今と違うチャレンジがあるとすれば、それをやることをお勧めする(例:ビジネスセクターにいた人がNPOの分野にチャレンジするななど)。そのときは金銭的な面等で得るものはなくとも、数年後必ず自分のノウハウが倍以上になっていることに気づく。そして、それはビジネスの世界でもいきてくる。

・パートナーとは、家事だけでなく、経済的な責任も完全にシェアするつもりでいる。家事だけ半分ずつとは思っていない。パートナーに数年間収入がなくなったとしても、一家を養えるだけは稼げる自分でいたい。

・パートナーとは、何でも共有し、語りつくすこと。そして、そのためには、共有するための時間をきちんととるように心掛けること(Tips:岡本さんは旦那さんとの時間を自分のスケジュール帳にスケジュールのひとつとして入れて管理しているそう)。

・家事は夫婦間できちんと引き継ぐこと。引き継ぐ方がきちんと引き継ぎができていないのに、引き継がれる方を責めてもだめ。仕事と同じように丁寧な引き継ぎが大事。(Tips:家庭用品の在庫管理の方法は事前に決めておくなど)


・逆算して事業計画を立てるなんて無理無理。やりたいことはやりたいときにMAXでやる。子どもがそろそろ産みたいからといって仕事をセーブしたりはしないこと。やりたいことをめいっぱいやってエネルギー値があがっているときに子どもだってできるはず。

・子育てはめちゃくちゃ面白い。でも、子どもを育てることは、24時間がアンコントローラブルになるということ。だからこそ、自分の時間軸を持つことが大事。

・夜の18:30-19:30の間にうちに帰って家族でご飯を食べる。そして、子どもが寝る21:00以降に仕事をしたり自分の時間を持ったりする。決めてやれば、やれないことは絶対ない。

・自分の時代時代で、時間軸を調整できるようになること。例えば、独身時代は仕事とプライベートは9:1だけれど、子どもが産まれたらしばらくは2:8など。それを会社に提案できるだけの能力をそれまでに身につけておくこと。

2013年2月6日水曜日

リーダーシップが人生と世界を変える?!

仕事中に上司に呼ばれて、「はい。仕事の仕方で参考になることが書いてあったから」と渡されたのがこの本。

私は全然知らなかったのですが、渡された後によくよく周りを見渡してみると、ランチの場所でも電車の中でも読んでいる人を発見。今話題の本なのですね。

私は、周りに何人かマッキンゼーで働いている人または働いていた人がいるので、「あーこの著者の方にみんな採用されたのだなぁ」と思いながら、なんとなくこの本を読んでいたのですが、読み進めるにつれて、

-なぜ欧米の大学院の試験ではリーダーシップの経験について聞かれるのか
-なぜリーダーシップを発揮できるメンバーが多数集まったNGOが魅力的なのか
-なぜうちの会社の採用面接でリーダーシップの経験について聞かれたのか
-なぜ「20代のうちにリーダーを経験したことない人は真のリーダーにはなれない」とゼミの先生が話していたのか

という問いに対する答えがわかった気がしました。

また、社会問題を自らの問題として捉え、意見を持ち、行動に移していくアメリカの一般市民をとても魅力的だと高校生の頃の私は思ったのですが、その魅力がアメリカ市民の「リーダーシップ」にあったのだということにこの本は気づかせてくれました。


マッキンゼーで12年間採用を担った著者がマッキンゼーの採用基準として掲げているのは、

①リーダーシップがあること
②地頭がいいこと
③英語ができること
④日本がができること

の4つ。日本では、そもそも教育においてリーダーシップを身につけることが重視されていないため、リーダーシップのある学生を探すのが大変なのだそうです。


また、リーダーシップに求められている4つのタスクは、

①目標を掲げる
②先頭を走る
③決める
④伝える(コミュニケーション)

の4つ。どれがかけてもリーダーとしての役割を果たしていないことに…

確かに、私の敬愛する上司/元上司は、①~④の全てを備えつつ、特に④コミュニケーションの能力に秀でている気がします。


強い組織は、数の限られたリーダーによって率いられる組織ではなく、多くのリーダーが自発的に行動する組織なのだという著者の指摘は、ごもっともだと感じるとともに、私自身の会社での行動を振り返ってみると反省点は多々あるなと感じています。

いわゆる「人事」本かと思いましたが、どちらかというと自分の行動を振り返るきっかけを与えてくれる「啓発」本でした。

著者は、リーダーシップは訓練を積めば誰でも学べるスキルであり、また、すべての人が日常的に使えるスキルであると言っています。

まずは、日々の業務から・・・きっと本を貸してくださった上司のメッセージもそこにあったのかな。





「『問題の解が見つけられること』と、『問題が解決できること』はまったく次元が異なります。『こうやれば問題を解決できる』とわかっていても、その実施のためには、組織の仲間に痛みを強いたり、外部企業との微妙な提携交渉をうまく乗り切ったり、経営者自身も、今までに経験したことのない領域に足を踏み出してもらうなど、さまざまな支援が必要です。(中略)困難にぶつかりつつも着実に前進するために必要な力も、地頭のよさとは無関係です。人や組織に関する深い洞察や感受性、強靭な精神力や未知のものに対する楽観的な姿勢(ポジティブシンキング)、粘り強さ、リーダーシップなど、求められる資質は多岐にわたるのです。」

「コンサルタントに向いているのは「半端でないレベルまで考え尽くすことができる人」です。純粋に考えることが好きで、考えることが楽しく、ヒマさえあれば何かについて考えている、思考意欲の高い人です。」

「マッキンゼーでも、(中略)最もインテリジェントだと思われているのは、処方箋を書くための、構築型の能力がある人です。(中略)政治や経済の現状について、「ここがよくない、あそこが悪い」と指摘したり、「なぜうまく回らないのか」と分析することは難しくありません。しかし、「ではどうすればよいか」、「全体としてどのような仕組みをつくり上げれば解決できるのか」、包括的に提示することは容易なことではありません。」

「自分の言動を変えるのは自分一人でできるけれど、自分以外の人の言動は、リーダーシップなくしては変えられないのです。」

「(リーダーシップは)プロジェクトマネジメントとも異なります。プロジェクトマネジメントという概念には、プロセス管理、予算や人材のリソース管理、進捗管理など、管理業務が重要な要素として含まれています。しかし、問題解決リーダーシップとは、プロセスをうまく回すためのスキルではなく、答えの質そのものの向上を追求するためのスキルです。」

「私に求められているのは、『自分で決め、その結果に伴うリスクを引き受け、その決断の理由をきちんと説明する』ことであって、上司の指示をすべて聞きいれることではなかったのです。」

「辞令によって配属が決定され、『石の上にも三年』などと言って、実力にかかわらずすべての新人に下積みを求める組織では、成長の可能性とスピードは運と偶然に大きく依存してしまいます。」

「判断力、決断力について信頼でき、言うべきことを言うのに躊躇せず、やるべきことはリスクをとっても実行する」(いざという時に選ばれるリーダーについて)

「どこで働く人も、自分の成長スピードが鈍ってきたと感じたら、できるだけ早く働く環境を変えることです。(中略)『ここ数年、成長が止まってしまっている』と自分自身で感じ始めてから数年もの間、同じ環境に甘んじてしまった後に転職活動をしても、よい結果を得るのは難しいということを、よく理解しておきましょう。」

「『変化に対応する力のある人』を求めるという言い方がありますが、リーダーシップ・ポテンシャルの高い人を求めるという趣旨から言えば、変化への対応力が高い人ではなく、むしろ、『変化を起こす力のある人』が求められています。変わっていく社会に対応する力をもつ人ではなく、社会なり、組織なりを自ら変えられる人という意味です。」

「ホワイトボードの前に立って議論のリーダーシップをとるには、会議の参加者が発する意見を全体像の中で捉え、論点を整理して議論のポイントを明確にしたり、膠着した議論を前に進めるために視点を転換したりと、さまざまなスキルが求められます。この『ホワイトボードの前に立つ』という経験を通して、新人コンサルタントはディスカッション・リーダーとしての訓練を積んでいくのです。」

「現状を変えられるのは、神でもスーパースターでもありません。必要なのは、組織のあらゆる場所で、目の前の変革を地道に主導するリーダーシップの総量が、一定以上まで増えることです。」

「あらゆる人が日常生活の中で自分なりにリーダーシップを発揮する社会となり、『誰かが決めてくれるのを待つ。誰かが決めてくれたらそれに従う』のではなく、『自分たちで話し合って決めていく、そのリードを自分がとろう』という姿勢に変わるだけで、社会のあり方は大きく変わっていくはずなのです。」

「組織とは、所属し、守ってもらうものではなく、率いるもの」

「『社会を変えたいなら、まず自分の生き方を変えないと始まらない』」

『採用基準』 伊賀泰代 より

2013年1月30日水曜日

大学での一コマ


去年の12月にA学院大学の授業『国際政治』の一こまで授業をさせていただきました。

40人ぐらいの学生さんの前で『平和構築~南スーダンの事例から~』という題名で講義をし、その後質疑応答も含めて計90分。

大学院の先輩からオファーをいただいて教壇に立たせていただいたのですが、その先輩がつっこみが厳しいところがあるので、授業中はどきどきしっぱなしでした。終了後、「面白かったよ。僕も勉強になった」と言ってくださり、ほっと胸をなでおろしました。

質疑応答での学生さんからの質問は、どれも新鮮でかつ勉強になりました。


・現場ではどのような人達と協議を行うのか。

・平和構築の理論と現実とのギャップについて(現場で直面した事例の紹介)

・日本経済が縮小していく中でODA(政府開発援助)の額が減っていくことについて、ODAを扱う組織で働く職員としてどう感じているか。

・平和構築も重要だが、日本企業の海外進出支援も大事なのではないか。

・開発援助が現地に負の影響をもたらした具体例について。

・(平和構築の現場では)高等教育支援は行わないのか。

・現場で危ない目にあったことはないか。

・なぜここまで開発の世界にどっぷりつかることになったのか?(就活生へのメッセージ)

・・・・

私の授業を通じて、少しでもこの業界に興味をもってくれた学生さんがいたら、嬉しい限りです。



ところで、最近よく学生さんから聞かれる質問のひとつが、(この業界で働いていて)結婚できますか?というもの。

質問の真意はよくわかりませんが(忙しいから出会いの機会が限られているでしょう、という意味なのか、はたまた、途上国にがんがんでかけていく女性はたくましすぎて結婚できないでしょう、という意味なのか・・・)、そんなことはないですよーと強く言いたい今日この頃。

2013年1月27日日曜日

『あなたの中のリーダーへ』




誰もが世界をよくしていくための力を秘めている。
要はその力に気づいて本気で行動するかしないか・・・それだけのことなのよ。



この本を読んでいる間中、著者が私にそっとやさしくこんなふうに語りかけてきているような気がしていました。

世界銀行(世銀)の副総裁までなられた西水さん。
開発の世界では緒方貞子さんと同じぐらい有名な日本人女性なのではないかと思います。

世銀では、途上国開発に直接携わる仕事だけでなく、世銀自体の改革も担われていたようで、その改革の事例の多様さとインパクトには驚きの連続でした。

例えば・・・

・世銀に託児所を設置する→男性職員もこぞって利用するようになる
・世銀職員に貧困を体験させる→職員の頭とハートがつながる
・世銀職員の子どもを出張に同行させる→子どもが働くママを応援するようになる

などなど。

そんなに斬新なアイデアというわけではありませんが、実際に実行に移すとなると、様々な障壁が想定されます。

例えば・・・

・託児所の設置には費用がかかる
・貧困体験や子どもの出張同行にはリスクが伴う(何かあったとき誰がどれだけ責任を負うのか?)
・貧困体験なんかしていると、ただえさえ忙しい職員がもっと忙しくなる

などなど。できない理由をあげたら、きりがなさそうです。

でも・・・そんなリスクをものともせずに、改革を次々と実行に移していった西水さん。

私は現在人事部で働いているため、世銀の組織改革のところがやはり気になって熟読したのですが、「ここまで思いきったことができるだろうか・・・」と自省の繰り返しでした。

最後の藤沢久美さんの解説もまたいい。

「こうした企業(地方の小さな企業)の経営者たちは、社員の中に役に立たない人はいないと言う。(中略)それぞれがもつ色を見つけ出すことが経営者の仕事であり、必ず光ると信じきる能力が経営者の資質だと言う。(中略)こうした経営者は言う。闘ってはいけないと。闘うことは、敗者を生むことであり、相手から何かを奪うことになる。(中略)もし、私たちが闘うことがあるとすれば、その相手は、自分の中にある安きに流れる自分の心なのだろう。(中略)私たちは、ブータンから学ばなくてはいけない。西水さんが縁を得られた多くの貧困の村に生きる人々からも学ばなくてはいけない。そして、西水さんが実現された世界銀行の改革のプロセスからも学ばなくてはならない。そこには、物質的にも経済的にも豊かになった国が、お金やモノではないものを求めることで、結果として、経済成長する社会をつくるヒントがたくさんある。そして、それを実現するのは、私たち一人ひとりの意識と行動。それは、私たち一人ひとりの中に眠るリーダーが、目を覚ますことから始まる。」

巨大官僚組織と言われる世銀で組織改革ができたのだから、他の組織でもできるはず・・・
「誰かが動かねば組織文化は変わらない。逃げるな卑怯者!」という西水さんの声が聞こえてきそうです。




人間、感動なしでは、本気で動かない。本気で動かぬ人間の組織に、ビジョンを追求し続ける変革は、在り得ない。


(悪質な縦割り業務について)心がまえの問題だから、組織改革は意識改革に準じるべきだと言う。部門を超えるチーム精神を人事の中心に置かなければできない改革。


信じられるか否かは、自分自身の姿勢で決まる。つねに自分に正直で、絶対無条件に人を信じる姿勢、すなわち「本物のリーダーたる根本条件」だ。


Think out of the box. 型にはまらず考えろ


「日本でいちばん大切にしたい会社」の経営理念も、国民総幸福量の政治哲学も、それを為して成すのは経営の品質、すなわちリーダーシップとマネジメントの品質に尽きる。会社でも国でも、一審本気でブレのないリーダーがあってこそ、幸せを可能にする成長が実現する。


組織の最高責任者として絶対に心得ておくべきことは何かと、最近世界各国でよく聞かれる。「Sensing the future―未来を感知すること。論理のみに頼らず、五感六感で未来を感じ取ることです」と答えている。


「何をすべきかではなく、すべきことをどう捉えるか。この違いが、組織を動かし、社会を変え、人の命さえをも救う」

『あなたの中のリーダーへ』 西水美恵子 より