2009年10月18日日曜日

ALL THE BEST!

今週は、明日から開始されるナイロビでの研修(小・中学校の先生向けに理数科の教授法を教える研修)に参加する南部スーダンの代表8名を送りだすための準備に追われた一週間でした。

たった8人の代表を送るだけのことなのですが、インフラが整備されていない南部スーダンでは地方に住む人々を研修に送り出すためには、多大な労力を必要とします。

まず、そもそも電話が通じない。ジュバから遠く離れた地方に住む人たちは、携帯電話を持ってはいるものの、ネットワークの接続が悪いためなかなか電話がかかりません。20回かけて1回つながったら「やった!」という具合で、研修の日程やフライトを伝えたりすることに多大な時間と労力がかかりました。(そもそもインターネットのメールについては、南部スーダン政府(中央省庁)の人々でさえもほとんど使っていないような状況ですので、地方の人たちとはメールで連絡をとるということは全く期待できません…)また、郵便機能もマヒしているため、研修に係る書類を送付するのにも、人づてに頼んだり、地方にオフィスのある国際機関に頼んだりするのですが、それでも本人の手に届く確率は半分ぐらいでしょうか…(ハルツームやジュバでも郵便はほぼ機能していないため、地方については絶望的です。)

そのため、今回の研修も8人の研修候補生のうち何人が参加できるのか最後まで分からず、ひやひやしていたのですが、結局今日(日曜)の出発には6人しか間に合わず、一番遠い地方から来る予定の2人は遅れてナイロビに向かうことになりました。

インドネシアやベトナムのような大国を支援する際には、「政策協議」のようなことを途上国側の政府と援助機関が実施したりしているのですが、南部スーダンではロジ面でほとんどの仕事が終わってしまいます。課長代理クラスでも、仕事を任せられるような部下や秘書を持たないため、また、汚職が多いことから、自ら研修生のための国内移動用のチケットを航空会社にまで買いにいくような状況です。(給与の支払いの場合にも、銀行機能がマヒしている南部スーダンでは、政府の人たちが大金を自ら持って地方に運んでいるような状況です。)

この国で2年間は現地にじっくり腰をおろして、現地の人々に寄り添って、最もシンプルかつ効果的なソリューションを提供していくのが私の仕事と覚悟はしているものの、やっぱり週末も続けてこういうロジに追われていると、「はぁ」とため息…

ただ、南部スーダン政府の教育省の局長が、6人の研修生に向かって、「今回の研修にはアフリカ中から研修生が集まってきているため、とても優秀な人たちの中でもしかすると気後れすることがあるかもしれない。でも、私たちの国(南部スーダン)は2005年に生まれたばかりの新しい政府であり、まだ赤子のようなものです。だから、南部スーダンの代表として胸を張って研修に参加し、アフリカの他の国の人たちから多くのものを吸収し、お互いに支えあうように。帰国した後は、南部スーダンの小学校の理数科教育の刷新を中心的に担う人材として活躍してもらう予定です。」と話しているのを聞いていたときには、南部スーダンの小学校教育に今後大きな影響を与えるであろう事業のスターティングポイントに立ち会えてよかったなと感じました。日本も鎖国をやめて開国していった時代に、数多くの使節団を海外に送り出したわけですが、その時の使節団のメンバーとこの南部スーダンからの研修生が私の中では重なって見えました…

3週間後に研修生が南部スーダンに戻ってきて、ケニアで吸収してきたことを聞くのが今からとても楽しみです。

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