この本の表紙を見たうちの母親が、「あなたが漫画を読むなんて珍しいわね」と言ってきたのですが、これは漫画ではなく小説です。
日本に一時帰国したときに、この本(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』岩崎夏海著)が話題になっていると聞いて、スーダンに持って帰り読んでみました。
ストーリーは、進学校の高校野球部のマネージャーになった女の子が、マネージャーの役割とは何かを探し求めているときに、ドラッカーの『マネジメント』という本に出会い、その中に書いてあったことを忠実に野球部という組織の中で実行していった結果、弱小チームだった野球部を甲子園に連れていくことができたというもので、ドラッカーの経営論のエッセンスがかなりわかりやすく書かれています。
おもしろいのは、野球部を強くするための秘訣が、実は営利企業にも(うちの組織のような)非営利団体にも当てはまるというところです。
・(組織を管理・運営する)マネージャーが始めから身につけていなければならない資質は、才能ではなく「真摯さ」である。
・組織の顧客は誰かを考え、顧客のニーズを満たすということから始めなければならない(=マーケティング)。
・組織の目的は、人の強みを生産に結び付け、人の弱みを中和することにある。
・組織は、古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てなければならない(=イノベーション)。
これを読んでいると、今BoP(Bottom of Pyramid。途上国で年間3,000ドル(約27万円)未満で暮らす層(人々)=約40億人)向けに開発されようとしているビジネスモデルもこのドラッカーの『マネジメント』理論によく当てはまることが分かります。
・途上国の人たちと彼らの生活に真正面から向き合おうとする真摯さが必要(ビジネスをする際の心構え)
・企業が「売りたいものは何か」ではなく、「BoP層の人たちのニーズとは何か」から出発することが求められる(=マーケティング)
・BoP層のビジネスはこれまでの「途上国向けの援助」という枠から完全に抜け出さなければならない…(=イノベーション)
野球部が強くなる秘訣と途上国の人たち向けのビジネスのエッセンスが実は共通だということ…素敵な発見です。
友人のSさんが、BoP層向けのビジネスを考えるためのコミュニティをWeb上で立ち上げています。おもしろい議論が展開されていますので、BoPに興味のある方はぜひ訪れてみてください。(私もメンバー登録しています!)
1 件のコメント:
読み終わったら貸してください!表紙に惹かれつつも手に取る機会がなかったもので!
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