2005年に南北スーダンの間で包括的和平合意が締結されたことを受け、南スーダンと北スーダンの軍人9万人ずつに対して、DDR(Disarmament(武装解除), Demobilization(動員解除) and Reintegration(社会復帰): DDR)のプログラムが開始されています。
最初のDDRプログラムの対象は、Special Needs Groups(特別なニーズを持つ人達)の35,000人です。ここには、女性兵士、障害を持つ兵士、年配の兵士等が含まれます。
このDDRの南部スーダン事務所が正式にオープンしたということで、そのセレモニーに今週参加してきました。
南部スーダンの副大統領は、オフィスの完成を祝福しつつも、35,000人を対象としたDDRの第一フェーズでは、未だに6,000人の軍人の動員解除しかできていないことを批判し、DDRの国家計画を見直して早急にどのような対策をたてることが可能かについて検討する必要があると発言しました。
来年の南部独立の是非を問う住民投票の後には、第二フェーズのDDRが開始される予定ですが、第一フェーズが遅延すると、第二フェーズまでたどり着けない可能性があります。
また、DDRは軍人を社会復帰させることによって、戦争の終わりを社会に印象づけるという効果だけでなく、南部スーダン政府の予算の25%が軍事費(軍人への給与含む)に使われている中で、DDRを行うことによって軍事費を他の予算に振り分けられるようになるという財政的な効果も見込めるため、早急な対応が求められています。
軍人のReintegration(社会復帰)の際には、職業訓練や教育の機会が与えられます。職業訓練の中には、伝統的な職業訓練(木工、金属加工、自動車整備等)の選択肢もあれば、起業支援や農業の選択肢もあります。
うちの組織も昨年、職業訓練の機会の提供を通じて、約60名の元兵士のReintegrationの支援を行いました。
南部スーダンではそもそも職業訓練を実施できるような組織・団体・機関がかなり限られている関係で、地方でのReintegrationはなかなか難しいとも聞いています。
このセレモニーでスピーチを行った国連からの代表者によると、「紛争を終えた国の約半数が5年以内に紛争に逆戻りするという統計がある。これを防ぐためにはDDRを着実に進めることが重要」ということです。
内戦は終結しましたが、「平和」への歩みはまだまだ始まったばかりです。
◎セレモニーの様子(南部スーダンのDDR委員会の委員長)
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