議会選挙の結果発表はまだですが、大統領の選挙結果については、総選挙後11日を経てようやく発表されました。
スーダン大統領 現職のバシール氏得票率約68%
南部スーダン大統領 現職のサルバ・キール氏得票率約93%
(スーダン選挙管理委員会HPより)
開票作業については、コンピュータ(ソフトデータ)で集計結果を管理する予定だったのですが、一部コンピュータ等の不具合により、紙でまとめて選挙管理委員会に送るよう選挙管理委員会から指示がでたり、また、当初20日に開票結果が発表される予定がかなり遅れて結局発表当日までいつ結果がでるかがわからなかったり、選挙スタッフの手当ての支払いが遅れてデモが起こったり…と技術面や運営面での問題はいろいろ見られ、今後改善は必要であるものの、一方で、投票率は約60%(※)、そして、大きな混乱もなく24年ぶりの総選挙を終えることができたことについて、我々を含む援助関係者は胸をなでおろしています。
※この数字によれば、総人口4,000万人のうち、4人に1人に当たる1,000万人以上が投票したとのこと。
一部の地方で、州知事のポストを巡って選挙に敗れた候補者による暴力が見られたりしているようですが、その他の地域については(私の住んでいるジュバも含めて)平穏そのもののようです。
日本でもスーダンの総選挙の結果については大きく報道されていました。
例えば読売新聞は、総選挙が終了し今後は来年の(南部スーダンの独立を問う)住民投票に向けて南部スーダンの情勢はますます混とんとしてくるだろう…という論調でした。
しかし、現場で見ている限りは、住民投票を来年に控えた2010年も南部スーダンの情勢はこれまでとは大きく変わらず、住民投票については、きっとまた直前にどたばたすることになるのだろう…という印象です。
日本政府は、今回のスーダンの総選挙に16名からなる選挙監視団を派遣し、合計156か所の投票センターを視察し、スーダンの選挙管理委員会にレポートを提出しています。
その内容は、「スーダンの総選挙は、現代世界史上最も複雑な選挙の一つであった。そのプロセスにおいて、監視団員は、技術的、行政的及び実質的な多くの問題を直接目の当たりにした。」一方、「監視団が訪問した投票所においては、投票者は忍耐強くかつ熱心に自らの投票順を待っており、投票は一般に平和的で秩序立って行われていたことが観察された。また、監視団は、NEC(※選挙管理委員会)職員、特に若い職員が、選挙を成功裏に実施させるために賞賛すべき努力を行っているのを目のあたりにしたところ、すべての監視団員が深い感銘を受けた。監視団は、開票作業も監視したが、これも一般に良く組織されて行われていたように見受けられた。」というもの。また、団長であった元スーダン大使の石井氏は、所感の中で、「特に、生まれて初めて投票する南部の多くの人々の真剣な投票態度は感動的ですらあった」と書かれています。
(詳細は、以下の外務省のHPを参照: http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/sudan/observation/gaiyo.html )
カーターセンターやEUが今回のスーダンの総選挙について出しているレポートや声明と比較して、かなり好意的な内容です。
3年以上の間南北スーダンそしてダルフールを精力的に訪問し現地の事情に誰よりも精通された前スーダン大使と、何十年もの間スーダンを拠点として文化人類学的なアプローチで現地を見てきた先生方が、「選挙監視団の一員」としていらっしゃったからこそ書けるレポートなのかもしれません。
次に生かす教訓は謙虚に受けとめつつも、スーダンの民主化に向けた自発的な動きを歴史的な文脈の中で位置付け、国際社会の一員として見守り支えていきたいものです。
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