2010年4月14日水曜日

‘Go To the Election!’

スーダンの総選挙の投票期間は、当初4/11から4/13の三日間の予定でしたが、選挙登録名簿が間違っていたり、投票箱が届いていなかったり、また、投票用紙に不備があったりした関係で、4/15まで延長されることになりました。


うちのローカルスタッフからも電話があり、「どの投票所に行っても自分の名前が登録されておらず、(選挙三日目の今日も)まだ投票ができてないんだ…」とのこと。


24年ぶりの選挙ですので、多くの大人にとって生まれて初めてのことです。

投票者も、選挙をとりまとめる選挙管理委員会のスタッフも、すべてが初めてのことなので、実際に選挙を実施してみて「選挙とはこういうものなのか」ということを皮膚感覚として今実感しているところなのでしょう。


一方、各国のマスメディアはスーダンの選挙に対してなかなか厳しい反応…

「混乱」「カオス」「ごまかし」などの見出しが並びます。

アメリカの元大統領ジミー・カーターも選挙直前に、「国際基準に見合う選挙を実施することを期待する」というコメントを発表し、選挙期間中には、「投票所に係る様々な報告を受けています…」というような含みのある発言を行っています…


でも、ここは先進国ではなく、24年ぶりに選挙を実施しているスーダン。

はじめから完璧な選挙を期待する方が無理というもの…

うちの理事長緒方貞子さんがアフガニスタンの選挙について「先進国並みの選挙を求めること自体が無理な話です」と話していましたが、スーダンについても同じことが言えます。


これまでは、武器を持って戦っていた者同士が、暴力に頼らずに選挙キャンペーンを繰り広げながらパワー・ゲームに参加する…この「手段」の変化こそが何よりも重要です。


一方、若者の投票率が低いのはスーダンでも同じようで、新聞でも取り上げられています。

うちのローカルスタッフの中で一番若い男性も、「選挙?選挙期間中は国外に旅行に行くよ」と関心がありませんでした。

これだけ国際社会がスーダンの選挙で盛り上がっている中で、当の本人たちが関心がないとはちょっと皮肉ですよね…


私の周りで今回の選挙を最も恐れていたのは、ケニア人の出稼ぎ労働者たちです。

ケニアでは2007年の大統領選の後暴動が起こり、数百人が死亡するという事件に発展したことから、そのようなことがスーダンでも起こるのではないか…とケニア人は心配しているようです。

一方、そんな経験さえないスーダン人の方が楽観的…


国連や日本人関係者に聞く限り、選挙中もジュバ市内はかなり平穏で、選挙も様々な問題を抱えつつも粛々と進められているとのこと。

このまま無事に選挙が終わることを祈るばかりです。


◎選挙キャンペーングッズ

現職の南部スーダン大統領のTシャツと投票を促す手さげ袋

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

スーダンでいきなり先進国並みの選挙を期待する方が無茶・・・同感です。所得の低い国に性急に民主主義を導入すると、紛争に戻るリスクが高い(とP.コリアー氏も論じている)。スーダン型選挙、スーダン型民主主義を進化させ、その他の国の民主主義に追いつく日が来ることを期待しましょう。

Eri さんのコメント...

コメント、ありがとうございます。
「スーダン型民主主義」…他のポスト・コンフリクトの国や地域で導入したシステムをただ単にスーダンに持ってくるだけでなく、スーダン特有の歴史的、文化的背景に十分に配慮しながら、丁寧にシステムを作り上げていくという作業が求められいます。究極的には、「この国をどのような国にしたいのか」というビジョンが求められる作業ですよね。